鷹の爪団

『鷹の爪団』の笑い

鷹の爪団は世界を我が手の中に収めようと登場した秘密結社『鷹の爪団』。21世紀を迎えた国際社会は、さまざまな問題をかかえており、これを征服したところで、各国政府が頭を悩ませている諸問題をそのまま引き受けることになるというところまで頭が回りません。実は、『鷹の爪団』が直面しているのは、世界征服以前の日常的な苦難なのです。

『鷹の爪団』では総統から部下への命令がストレートに伝わりません。思想・生活習慣の微妙な違いに端を発し、マンザイもどきのボケ&ツッコミ的な会話へとなだれ込みます。世界征服が、その存在理由であるはずの秘密結社『鷹の爪団』の中で、議論されている問題が、視聴者・観客が日常、家庭や職場で耳にするのと同レベルにつながっていくのが、この作品の笑いの重要なポイントです。

似たようなギャグは、アメリカ映画『オースティン・パワーズ』シリーズの中にも見られます。劇場版として製作された2つの作品『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE 〜総統は二度死ぬ〜』、『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II〜私を愛した黒烏龍茶〜』などのタイトルを見ると、『鷹の爪団』は『オースティン・パワーズ』の元ネタである007/ジェームズ・ボンド・シリーズも意識しているようです。

今、『鷹の爪団』は、過去の秘密結社が手にしたことのなかったインターネットという、強力な武器を手にして、より多くのファンを制服しようとしています。そのパワーをYou Tubeで目撃してはいかがでしょうか。

『鷹の爪団』の誕生

秘密結社鷹の爪団は、深夜のテレビ番組の1コーナーとして登場したアニメーションです。テレビ番組の制作現場は、近年、予算削減のしわ寄せを受けて、1部をのぞき十分な制作費が掛けられず、アイデアと表現が成否の鍵を握っているのが現状です。

『鷹の爪団』は、そうした事情を逆手に取って、あえて低予算であることを前面に押し出し、そのこと自体をギャグにするなどして、じわじわと視聴者を獲得していきました。

『鷹の爪団』を制作したのは、映像クリエイター、FROGMAN。従来のアニメ制作の手法より、簡単に作品を作れるFLASHというソフトウエアを用いて、脚本・作画・演出・声優を1人でこなしました。

今では、アメリカを代表する企業にまで成長したウォルト・ディズニーのプロダクションが、自宅のガレージを改造して作ったスタジオで最初に製作アニメも、実は『鷹の爪団』と同じように、自作自演でした。違っていたのは、ディズニーがスタジオで原画を1枚1枚描いてキャラクターを動かしたのに対し、FROGMANはコンピュータの中で作品を完成させたことでした。

『鷹の爪団』は『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE〜総統は二度死ぬ〜』として2007年に劇場用アニメーションに進出しますが、3Dアニメが主流になりつつある現代、全編がFLASHで製作されました。それが、観客にどう受け取られたか。翌年続編として『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE2〜私を愛した黒烏龍茶〜』が公開されたことが、その答えと言えるでしょう。

鷹の爪団誕生でございます。

鷹の爪団誕生の巻

鷹の爪団動画2団

総督の巻き

inserted by FC2 system